いとしのかずん
「あ! 昆虫の本だー!」
みかんを食べ終わった敦美は、皮を丸めて机のわきのごみ箱にポンと入れると、立ち上がって本棚を物色したのちに、1冊の分厚い図鑑をうれしそうに取り出した。
「巧ってさー、虫取るの大好きだったよねー」
パラパラとページをめくらながら話す。
「男はみんな好きなの! 俺だけじゃないって……」
「それはそうだけど…巧のは少し異常だよ。覚えてる? すっごい朝早くに叔父さんと蝉取りに行ったこと」
と、図鑑をパタンと閉じて俺を見た。
みかんを食べ終わった敦美は、皮を丸めて机のわきのごみ箱にポンと入れると、立ち上がって本棚を物色したのちに、1冊の分厚い図鑑をうれしそうに取り出した。
「巧ってさー、虫取るの大好きだったよねー」
パラパラとページをめくらながら話す。
「男はみんな好きなの! 俺だけじゃないって……」
「それはそうだけど…巧のは少し異常だよ。覚えてる? すっごい朝早くに叔父さんと蝉取りに行ったこと」
と、図鑑をパタンと閉じて俺を見た。