いとしのかずん
「おーい、あっちゃん!」

しかし、そんな俺の気持ちに水を差すように、かあちゃんが階下から敦美を呼んだ。

「あ!叔母さんだ……は……はーい!」

敦美は、部屋を出て階段より下を望んだ。

「お風呂、空いたよー」

「あ、はーい! 今行きまーす!」

下に向かってそう返事をした敦美は、再び俺の部屋に顔をのぞかせると

「お邪魔さま、お風呂入ってくるね」

と言ってドアを閉めた。
タンタンと階段を降りる音は、徐々に小さくなっていった。
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