いとしのかずん
重い足取りでもってリビングに降りると、すでに父と母、そして敦美はテーブルに着いて食事をすすめていた。
3人は、ぬぼーっと登場した俺に対し、いささか冷ややかな視線で迎えた。

「……おはよ」

すごすごとテーブルまで歩いて椅子を引き、腰を降ろした。

敦美は、俺が座るのとほぼ同時に席を立ち、キッチンへ歩いていくと、ご飯茶碗を持ってきて

「はい巧、ご飯」

と、髪をかき上げながらコトンと俺の前に置いた。

「あ…さんきゅ……」
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