いとしのかずん
「あっちゃん、今日はどこさか行くのかい?」

皿の料理もほぼ8割がた片付いた頃、かあちゃんが敦美にそうたずねた。

「そうだなあ…このへんを知っとくために、適当にブラブラしてみようかなぁ……」

「んだか。そしたらば……巧?」

かあちゃんは今度は俺の方を向いた。

「巧、どうせヒマなんだろ? あっちゃんを案内してやんなさい」

顎で指図をするようなゼスチャーをする。それを聞いた敦美は俺の顔を見た。

「一緒に行く?」

――敦美と? 

心臓がドクンと大きく脈打った。
< 65 / 183 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop