いとしのかずん
敦美と一緒に街を歩く自分を想像すると、胸が高鳴った。

しかし、そんな気持ちなど前面に出せるはずもない。

「んだよ……なんで俺が」

と、わざと、おっくうなフリをした。

「どーせうちにいてもベッドでゴロゴロしてるだけなんだから、外に行って体を動かしなさい」

かあちゃんは、俺にそう言ったあと、敦美を見て

「あっちゃん、こいつも連れてって」

と、箸で俺を指した。
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