いとしのかずん
敦美はそう言うと、俺が何か言うよりも先に、素早くスプーンでアイスをすくい、口に持っていく。そして

「あんまぁーい!」

と目をつぶり、体を震わせてアイスを味わった。

「な、なんだよ勝手に……」

「だって、溶けると美味しくないじゃん」

「ちぇ……返せよ」

俺は、少しいじけたフリをしつつ、敦美からグラスを奪い取る。そして、中に立ててあるスプーンを手に取った。

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