それでも傍にいたい〜先生と生徒の逢瀬〜

「それでは、柳美加先生と吉田孝(ヨシダ タカシ)先生に歓迎の意を表して!」

「乾杯!」と教頭先生の音頭で一斉にビールを掲げる。

「柳と酒飲むなんて違和感感じるなー!」

ビールをがぶがぶ飲み、私の肩を抱く村川先生。

「先生、セクハラ!」

そう先生の手を摘む。…優しく。

「痛っ!柳、お前酷いな!」

「ふーんだ。」

そう言い、ビールを一口。


「それにしても柳さんが教師になるなんてね。」

ふふ、と優しく笑う数学の堺先生。

「先生達見てて、私も教師になりたいって思いが強くなったんです。だからここで働きたいって、後輩達を見守りたいって思ったんです。」


「柳!お前はほんといいやつだ!」

そう目を潤しながら、村川先生は言って零れた涙を拭いた。村川先生、泣き上戸だったんだ。


教師の面々はあの頃とほとんど変わってなくて、その先生から"柳先生"だなんて呼ばれると少し不思議な気持ちになる。
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