それでも傍にいたい〜先生と生徒の逢瀬〜
変わらない風景に、目を細めた。
ずっしり構えた校舎に向かって続く桜の樹々、野球場に、白線が引かれたグラウンド。
その全てが懐かしい。
「柳先生、ですね?」
そういきなり話し掛けられてビクンと反応した身体。
「は、はい。」
『先生』その響きがくすぐったい。
「私、教頭の南です。」
そう微笑む恐らく40代半ばの男性教員。
「今日からお世話になります、柳です。」
「わからないことがございましたら遠慮せずにおっしゃってくださいね。さあ、参りましょう。」
「はい。」
優しそうな人で、安心した。