それでも傍にいたい〜先生と生徒の逢瀬〜
午前中の授業を終え、昼休み。
「いただきます。」
職員室の自身の席で昼食を食べる。自分で作ったお弁当。
「柳先生のお弁当、おいしそうですね。ご自身で作ったんですか?」
パンを片手に話し掛けてきた吉田先生。
「ありがとうございます。見栄えはよくないですが…はい、私の手作りです。」
「いいなあ。僕にも作ってくれる恋人がいたらコンビニのパン買わなくて済むのに。」
「吉田先生なら、すぐできますよ。素敵ですもん。」
そう微笑み、卵焼きを頬張る。私好みの甘い味。
「僕は甘い卵焼きが好きですね。」
「あ、私もですよ。吉田先生も甘党なんですか?」
「はい、甘いの大好きです。すごくおいしいケーキ屋があるんですけど、今度一緒に行きませんか?」
え、デートですか?
爽やかな笑顔でそう誘う吉田先生。私は少し背中に汗が流れたのを感じた。
「あ…ぜひと言いたいんですけど、生徒達に誤解されたらお互い困りますから。」
笑ってみるけれど上手く笑えてないと思う。きっと苦笑い。
「…生徒達と食べようかな。ははは…。」
そそくさと私は心なしか足早に職員室を出た。