それでも傍にいたい〜先生と生徒の逢瀬〜
「ジェーンのバンドにいる、ルカわかる?」
暫く沈黙が続いて、ジャスティンが口を開いた。
「うん、キーボードの人だよね?」
「そう。」
急に、そんな話題を出されたから思わず頭を捻る。
「あいつ、ハーフなんだ。イタリアとスペインの。でもあいつはイギリスで生まれ育ったんだ。あいつ、ずっと自分が"イギリス人"じゃないこと、コンプレックスに思ってた。馬鹿だよな、あいつはイギリスで生まれて、ずっとイギリスで暮らしてる。
列記としたイギリス人なのに、それなのに居場所がないってそう思ってたんだ。」
ルカさんと私とは全く違う境遇で辛さもきっと深いはず。
「学校でも周りがお前はイギリス人じゃない、そうあいつに言ってたらしいんだ。そんなあいつに、ジェーンはしつこく付き纏ったんだってさ。ほら、ジェーンって人懐っこいし偏見とか皆無だから。」
本当に、ジェーンは人懐っこくて偏見が全くない女の子。それがすごく、嬉しかった。
「ルカとジェーンは同じ学校のクラスメートだったから、彼女はどうしてもほって置けなかったみたいなんだ。自分の存在そのものが嫌いなルカのことが。お節介だとか、しつこいとか思われても、あいつはいつもルカを見捨てなかった。」