それでも傍にいたい〜先生と生徒の逢瀬〜
「…いや、あれは社交辞令であって、決してデートのお誘いではないわけで、in no caseであって…」
そうぶつぶつと唱えながら教室に向かう。
「美加先生!一緒に食べよう!」
教室に入るとすぐに田中さんに話し掛けられた。
「うん。食べよう!」
田中さんのグループはみんなとくにお洒落に気を遣って校則違反すれすれの格好をしてるけど明るくて優しくてみんな、いい子。
「先生のお弁当超おいしそう!」
「ありがとう。」
「もしや、手作り?」
「そうだよ。みんなのお弁当はお母さんが作ってるの?」
「そうそう!ママが作ってるんだー。」
どうやらみんなお母さんの手作り弁当みたい。かわいらしいお弁当箱に入ったこれまたかわいらしいおかずに、母親の愛がたくさん詰まってる。
お母さんの手作り弁当、か。最後に食べたのはいつだったかな?
「先生って彼氏いるの?」
「それがね、いないの。」
「まじ?先生それやばいよ!」
みんな口々にそう言う。…やばいっすか。
「二年くらいいないらしいよ。」
「ちょっと田中さん!」
ばらさないで、恥ずかしい!
「あー…もう終わってるよ、先生。」
「お、終わってる?」
それ酷くない?