それでも傍にいたい〜先生と生徒の逢瀬〜
それから開会式が始まり、私はテントの中でみんなを見つめてた。

「柳先生。」

振り向くと、ニッコリ微笑む吉田先生がいた。

「吉田先生。おはようございます。」

「おはようございます。生徒たち、楽しそうですね。」

「ええ。」

「どうぞ。」

そう手渡されたのは冷たいカフェオレ。私の大好きな、あのカフェオレ。

「ありがとうございます。」

「どういたしまして。」

小さく微笑んで、吉田先生は微糖の缶コーヒーの栓を開けた。…章も、いつもそのコーヒーだったな。
章、今なにしてるんだろう。早く、章とほんとの親友になりたいよ。

「…どうか、しましたか?」

「あ、いえ…それ、昔の彼がよく飲んでて懐かしいなって。」

「…柳先生、今彼氏はいますか?」

じっと私を見据える眼鏡越しの瞳。

「…、」

いる。でも、これは秘密の恋だから、公に出来ない恋だから、私はなにも言えなかった。

「それなら、立候補していいですか?」
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