それでも傍にいたい〜先生と生徒の逢瀬〜
キーンコンカンコーンというチャイムが授業の終了時間を知らせた。
「はい、今日はここまで。次の授業は教科書15ページからだから予習しといて下さいね。お疲れ様でした。」
教室を出て、伸びをしてると名前を呼ばれた。
「美加先生。」
「あ、どした?」
振り向くと相沢くん。
最初"美加ちゃん"なんて呼んでたのに最近は"美加先生"になった。
「ここ、よくわかんなくて…。」
「どこ?」
私は相沢くんの隣に行き、彼の教科書を覗き込む。
「ああ、ここね?この用法ってことでいいのかな?」
「…はい。ややこしくて…」
「ここはね、」
「真面目かお前は。」
私の説明に被ったその声。
「坂上くん。」
「柄でもないことしてんじゃねえよ、相沢。」
そう相沢くんに冷たい視線を送る坂上くん。
「うっせえな、坂上。」
「坂上くん。相沢くんの邪魔しないの。相沢くんごめんね?ここなんだけど、tired of〜だと〜に飽きてるで…」
そう相沢くんに教えてるといきなり坂上くんに腕を掴まれる。
「坂上、くん…?」
「ちょっと来い。」
そう吐き捨てるかのように言い歩き出す坂上くん。
「ちょっと?!」
「相沢、こいつ借りるわ。」
こいつって…借りる?
「私これからB組の授業なんだけど…」
「すぐ終わるから。」
「坂上くんも次、日本史でしょ?」
すたすたと歩みを止めない坂上くん。…どこに連れてかれるの?