それでも傍にいたい〜先生と生徒の逢瀬〜
無理して笑ったけど、親友の飛鳥に見破られないか内心ハラハラしていた。
「教科は?やっぱり英語?」
「うん。」
私は飛鳥のその問い掛けに頷いた。
「やっぱり!美加は英語だけはいつもトップだったもんね。」
「…だけって。」
事実ですけど。他の教科は赤点すれすれでしたけど。
「美加は本当に英語好きだったよね、高二の頃イギリスに留学したり。」
「半年だったけどね。」
かつてのクラスメート、アキが感心したように過去の留学の話をしたから少し照れてしまう。
「それからだったよね、佐川くんと距離できたの。」
「…まぁね。」
佐川くん。高校時代の元カレの名前。
イギリスから帰ってきてから妙に距離感ができて、高三の夏にとうとう別れた。
ホストファミリーと俺どっちが好きだかわかんない、なんて意味のわからない理由でフラれた夏。意味不明で涙なんか出なかったのを覚えてる。
「あ、佐川くんいるじゃん。話し掛けなよ。」
飛鳥の指差す方向に大好きだった元カレの姿。来てたんだ。
「やっぱり、イケメンだねえ。二人が付き合ってた頃、本当お似合いで眩しかったよ。」
昔を思い出したのかアキは目を細めてそう言った。
「だよね、美男美女でさ。高嶺の花って言われてた二人だったからドラマ観てるみたいだった!」
「ねー!」
盛り上がる二人に私はただ苦笑い。