それでも傍にいたい〜先生と生徒の逢瀬〜

「美加?」

呼ばれたから視線をその方に移すと、佐川くんこと章(アキラ)がいた。

「…章、久しぶりだね。」


「本当だな、卒業式以来だよ。」

「じゃ、私達は邪魔みたいだから消えまーす。」

にやにや不信な笑みを浮かべて飛鳥はアキの腕を掴み人混みに消えた。

「…たく、飛鳥ったら。」


元カレと二人きりでなに話せばいいんだよ。

「先生から聞いたけど美加、英語の先生になったんだって?」

村川先生広めすぎ!
…いや全然いいけれど。

「うん。新米だけどクラスも受け持ってるの。」

「スゲーな、美加。」

「ありがとう。」

「美加が先生か。生徒はラッキーだな。」

ふんわりとした笑顔で章は言う。それは私が大好きだった笑顔。

「ラッキー?」

「こんな綺麗で優しくて、思いやりのある先生にそうそう巡り会えないって。」


「ありがとう。」

あんなに大好きだった章。でも今は友達として話せるようになったみたい。
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