それでも傍にいたい〜先生と生徒の逢瀬〜
私はその後坂上くんと別れて、駅に向かう。
えーと、最寄駅は…っと。
章の仕事場の最寄駅までの切符を買って改札口を通る。
章のオススメのレストランはどんなところなのかな。きっと、お洒落なんだろう。章は落ち着いた雰囲気の場所が好きだったから、クラシックが流れてるようなところかな。
そんなことを考える反面、坂上くんのことを想う自分がいた。
文句を口にしながらも、意外と素直なところ。
生意気で、でも憎めなくて。
笑うとくしゃくしゃになる端正な顔だとか、歳は離れてるのに妙に男っぽいごつごつした指だったり。
どれも愛しく想って、心臓をきゅっと掴まれる。
人をこんなに愛おしく想うのは何年ぶりだろう。
それが、教え子だなんて…皮肉にも程がある。