それでも傍にいたい〜先生と生徒の逢瀬〜
「うわ、」
章の仕事場を目の前にして、私はそんな声をあげた。
さすが、国家公務員。
立派なたたずまい。
…迫力がある。
恐らく彼は、将来"官僚"になるような気がする。章にはその素質がある。
国の組織の上に立つ、素質が。
「美加!」
建物から出てくる頭のよさそうな人達から私を呼ぶ一人の男。
「章。」
「待った?ごめんな、わざわざ来てもらって。」
「ううん、いいの。気にしないで。暇だったし。」
謝る章に私は笑顔を向ける。私には場違いの場所にいて、スーツを着る章が遠い存在に見えたのは黙っておこう。
章のオススメのレストランまでの移動時間、歩きながら思い出話やらお互いの近況報告をした。ただ、生徒を好きになってしまったということは言わなかったけど。