それでも傍にいたい〜先生と生徒の逢瀬〜

お会計のとき、財布を取り出したら、章がここはカッコつけさせて、とニッコリ笑うから渋々財布を仕舞う。

「ありがと。」

「どういたしまして。」

「私、また来たいな。」

「夜は完全予約制だから、ランチにしたほうがいいよ?」

「うん。私も新米教師で一人暮らしだもん。こんな場所でディナーなんてとてもじゃないけど無理ね。」

ランチは特別価格。
ディナーはその数倍程掛かるものもあるとかないとか。

「今度、マーレイ家が来るんだろ?一緒に食べれば?会うの久しぶりなんだろ?」

「そうね、みんな誘ってみる。喜んでくれるかな?」


「きっとな。多分、美加と一緒に過ごせるだけで嬉しいじゃないかな。家族、なんだから。」

章はそう微笑んだ。優しい、微笑み。この笑顔が堪らなく好きだったなあ。
だから、離れた半年は辛かった。いつも夢に出てたんだよ、章。
でもそれは過去の話で。
今の私の心は、坂上くんを求めてる。
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