それでも傍にいたい〜先生と生徒の逢瀬〜
時が、止まった。
真剣なその眼差し。息ができない。
「か、からかうのやめて。」
ふいと、視線を彼から離す。心臓の鼓動が、うるさい。
「本気だけど。」
腰掛けたままの私の肩を抱き、頭に手を添えた彼。
彼の、坂上くんの体温が鼓動が、息遣いが、如実に伝わる。
「最初は、―からかってた。あの時俺は元カノにフラれて、先生をからかってると辛さが和らいだ。」
ゆっくり、坂上くんは話しはじめた。
私の鼓動と、坂上くんの鼓動。両方同じくらい響いて、顔から火が出そう。
「先生の反応が楽しくてずっとからかってたんだ。―でもいつの間にか、先生でいっぱいになってた。先生の笑顔、声、手、髪…全部がいつも頭にあって。俺、本当に先生を好きになってた。」
なぜだろう涙が零れた。
同じ気持ちだったのが嬉しかった?多分、そうなのかな。
涙がただ静かに頬を伝い、坂上くんの腕に落ちた。
本当に欲しいモノ。今やっとわかったよ。
「…私も、坂上くんが好きだよ。」
それはあなたとの時間。
こうしていたい。それが教師の掟に背いたとしても。背徳だとしても。
"坂上くんが好き"
その気持ちを、溢れるこの恋心を抑えることはもうできない。
そして私達の秘密の恋が始まった。