それでも傍にいたい〜先生と生徒の逢瀬〜
「柳先生、」
「あ、はい!」
振り返ると私と同じで今日からこの高校に赴任した吉田先生。
縁のない眼鏡が似合う男の先生。
「いきなり、担任だなんて凄いですね。僕はまだ副担任でもないんでまだ楽です。」
そう小さく笑った。
「凄いんですかね?私に務まるか不安で…」
「大丈夫ですよ、高校生って僕達が思ってるよりだいぶ大人ですし。愛情持って接すれば応えてくれますよ。」
「そうですね…。」
吉田先生にそう励まされ、私は少し荷が軽くなった気がした。
「おい新米!今夜お前達の歓迎会するからな。」
ニカッと笑う村川先生。
私と吉田先生は、はいと答えて席に着く。
歓迎会、か。
社会人になった実感が沸々と湧いてきた。