それでも傍にいたい〜先生と生徒の逢瀬〜

ジェーンの提案で、私達は歌舞伎を観ることにした。日本人の私だけど、歌舞伎ははじめてで。きっと、私と同じくらいの年代の人はそうだと思う。

はじめて観る歌舞伎は、息を呑んだ。独特の世界観に引き込まれて、ホストファミリーの顔を見る余裕なんてこれっぽっちもなかった。

あっという間に時間は流れて、歌舞伎の幕が下りた。


「素敵だったね！歌舞伎観れて本当によかった。」

ジェシーはその綺麗な顔を崩して、満面の笑みを私に見せた。

「そうだね、私も初めて観たけど圧巻！今まで観なかったの勿体ないって思った程だった。」

「ミカも観たことなかったの？私、てっきり観たことあると思った！」

ジェーンの言葉にジェシーは頷いた。

「実は浅草も今日が初めてなの。」

「ミカそれは勿体ないわ！こんなに日本の昔ながらの文化に溢れた街に来ないだなんて。」

「そうねママ。これからは来ようかな、すごく楽しかったもん。…他に行きたい所ある？」

そう尋ねるとジェーンが口を開いた。

「原宿！」