RUN RUN RUN!!
春樹と冬子
別れは突然訪れた。春樹が夏休みに転校するということを冬子がきいたのは一学期の終わりだった。

「なんで引っ越すの?」

「分からん」

「分からんのに引っ越すの?」

「仕方ないだろ」

冬子は春樹が突然大人になってしまったような気がした。

冬子と春樹は中学の時から一緒で、気づくとよく時間を共にしていた。高校もなぜか同じで、2人は端から見れば恋人同士のようだった。

「どこに引っ越すの?」

「千葉」

「いつ引っ越すの?」

「28日。夏休みの終わり」

「お見送りに行っていい?」

「好きにして」

春樹はどことなくそっけなかった。

「さびしいの?」

冬子は不安げにそうきいた。

「さびしいよ」

< 1 / 4 >

この作品をシェア

pagetop