RUN RUN RUN!!
冬子は家に帰ると、カレンダーの8月28日のところに印を付けた。

【春樹出発】

冬子は自分で書いた印を見て、ほんの少しだけ涙ぐんだ。

「春樹がいなくなるとはおもわんかったな」

冬子はそうつぶやくと、少し早めに床に就いた。


夏休みはあっという間にすぎ、春樹が出発する日は訪れた。しかしその日に限って冬子の家の喫茶店は大忙しで、冬子は店を離れられずにいた。

「お母さん、友達が行っちゃうよ」

「まだ行かんよ。さっさと仕事終わらせて行ったらいいじゃない」

冬子の母親は春樹のことなど知らなかったし、冬子も話そうとはしなかった。冬子の母親は淡白すぎる人で、冬子を理解しなかったからだ。
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