RUN RUN RUN!!
春樹は今にも発とうとしていた。駅には数人の友達が集まり、別れの言葉を交わしていた。

「そんな遠くないんだからまた遊びにこいよ」

「夏休みの宿題出さなくていいから春樹はいいよなぁ」

男友達から賑やかな言葉をかけられて、春樹は嬉しそうだった。しかし、春樹は冬子がいないことでずっとそわそわしていた。

「冬子はきとらんの?」

「おらんなぁ。やっぱりお前ら付き合ってんの?」

「ううん。ただ気が合うだけ」

春樹は遠くを見ながら答えた。もうすぐ電車も発車する時間だった。


冬子はいらいらしていた。

「まだ行ったらいかんの?」

「もうちょっとおって」

「さっきからどんだけちょっとって言ったとおもっとんの?」

「客がおるんだから仕方ないでしょ」

「もう付き合いきれん」

冬子はエプロンを置いて店を飛び出した。

家に戻って携帯を見ると、春樹からメールがきていた。

もう行くわ。お前と一緒にいて楽しかったよ。ありがとう

「なんだよ…」

そのメールを見たとたん、冬子は春樹にどうしても会いたくなった。会ってさよならを言いたかった。そしてこう思った。

走ろう。
< 3 / 4 >

この作品をシェア

pagetop