俺の彼女
信じて
あの日を境に
愛梨からのメールは来なくなった



俺が送っても
舞い戻ってくるメールは受信BOXに溜まっていく




いつものベンチ


横になって見上げた空
鱗雲が灰色に染めていく




はぁー…



「おい、芹澤。」



田牧の声がする
視線だけを向けた


「なに?」




「お前…どうした?ずいぶん、腐ってんな。」


俺の様子に気付いた田牧はベンチの横にしゃがんだ



こう言うときはこいつは妙に気が利く



「…。」


「なんだよ?
あの子と…なんかあったのか?」



「……振られた…。」



「はぁぁぁぁぁぁ!!?」


いきなり立ち上がる田牧
ムンクの叫びも及ばないほどの絶叫が響いた


「お前…五月蝿い。」


信じられない
とでも言いたそうな田牧は俺の顔を覗き込む


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