俺の彼女

店から少し離れたところにバイクを止める



ゆっくり
だけど逸る気持ちは押さえられなくて



しだいに足早になる



店の前では
愛梨がまた
鼻唄混じりに
水しぶきの中で踊っていた


なんだか心が暖かくなる
クスッ…


｢よっ…。｣

｢愛梨ぃ？｣


俺の声と重なって
誰か男の声が大きく響いた

｢ん？｣


彼女は今まで俺が見た事無いような

自然な微笑みで声の方向を振り返った



俺はただ、その光景を目に写してるだけ


そして
彼女の視線の先から出てきたのは


私服姿の若い男


背は俺より高い
髪は茶髪で緩めのパーマでふわふわしてる


極めつけは
大人の男らしいシャープな眼鏡


その男は
当たり前の様に彼女の髪に手を伸ばした



そして
愛梨は何の抵抗もなく
男に髪を触らせた


チクチク


チクチク


胸の中で針が立つ
無意識に拳を握っていた