小島よしお
「ん?何?」

祈りに膝枕をしてもらい、ビデオに目をやりながら生返事をする。

「どうして結婚したの?」

「どうして?」

「うん」

「・・・情、かな?」

「情?」

「う~ん、だって俺、結婚願望なかったしな。向こうが結婚したいって言ってきて…
まあ嫌いじゃないし、断る理由もないし。

つうか、好きな人振り向いてくれなかったし。・・・ようやく今になって振り向き始めたけど」

「あたしは前から変わってないよ」

・・・
気がつけばビデオは
“ザ~”
っと雑音だけが流れていて、外は雨が降り始めていた。

じゃあ、俺も聞くけど・・

「・・・中だししていい?」

「ブッブッ~、駄目だよ、O型の子は産みません」

「・・・なんだよ、まあいいけど」

「今日泊まっていけば?」

「明日、言い訳すんのめんどくさいな」

「うちの子になっちゃえば?」

「子供止まりかよ…」

「子供生まれたら彼方って名前にしようっと」

「出来るもんならしてみろ」

ソファーに座り、二人でポケ~っと冗談を言い合いタバコをふかす。

最高に心地いい瞬間。

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