小島よしお
俺は偶然にも
“サイクリング車”
が欲しくなったのだ。

MTB略してオッパピー・・

・・オッパピーは関係ない、言ってみたかっただけである。

「自転車買ってくる・・」
それだけの理由で外に出ようとした俺を止める妻の声・・

「あたしも一緒に行こうか?」

「・・・」

「聞こえた?あたしも一緒に行こうか?」

「・・いや、その後、適当に飲んで帰るからいいよ」
明らかにぎこちない笑顔の自分に乾杯。

といいつつも、日ごろから飲みに行くという伏線は張ってあるのでOKだった。

妻の言葉を蹴散らし、なんとか俺は外に出ることに成功した。

家が見えなくなるところまで歩くと、速攻祈りにメールをする。

「脱出成功しましたけど、何か?」

この時点でもう18時をすぎていたのだ。

祈りが別の用事を作っていても何もおかしくはなかった。

「遅いよ~」

祈りからの返信。

“やっぱな~、遅かったか・・・仕方ねえか・・”

俺は四つんばいに道路に倒れた。

“下手こいた~”

・・・言ってみたかっただけである。

どうしようか考えていると、続けて祈りから次のメールが入る。

「で、どこで待ち合わせする?」

・・・きっと俺たちは最終的に結ばれるんだろうな・・・
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