小島よしお

さて電話を切り、引き続き21時をすぎた寝静まり始めた住宅街を一人歩く。

しかも何故か旦那のいない隙を狙って祈りの家へ・・。

“突然帰ってきたらどうすんべ”

“言い訳しようがないな”

“近所の人に見つかったらどうすんべ”

“新聞の勧誘っていうしかないな”

一人、暗い夜道をつぶやきシローである。

と、突然

「おお!!見つけた!」

前から祈りが自転車で急に現れる!

“襲われるかと思った”

ビクッとするも酒を飲んでるせいで反応が鈍い。

「後ろからくるのかと思ってたぜ」

俺が言う。

「タバコ買ってきたぜ~、エライ?」

「あっ、そうだ忘れてた。切らしてたんだ。やるじゃ~ん」

「まあね~、気の利く女!あたし奥さんにしたら楽だよ~」

笑いながら俺の回りをぐるぐる自転車で回りながら言う祈り。

俺は目で祈りを追う。

すると、祈りは草木の花壇に突っ込んでいった。

「きゃ~いた~い」

「・・・何してんだ?」

呆然とする俺。

「酔っ払うと色んなとこに突っ込んじゃうんだよね~」

「まったく、これからお前に突っ込んでやるからな」

「やだ~、もう」

やはりバカップルである。

祈りは自転車を漕ぐのを諦め押していた。

「はい、これ持って」

祈りは買い物袋を俺に渡す。

「なんじゃこれ?」

氷結だらけ、10本。

「氷結好きなの、彼方も好き~」

今日の祈りはいつもの1,5倍増量で楽しそうだった。

居酒屋から15分ほど歩き祈りの家へ着く。

玄関を開けるとき、妙な緊張感が二人を包む。

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