繭(まゆ)
煙
ある晴れた2月の寒い朝、私のお葬式がひっそりと行われた。
まだ首の座っていない、もちろん自分で立つことすらままならない私は、義理の母の化粧の臭いに耐えながら、おくるみにくるまれ病院からタクシーに乗り込んだ。
どれだけ目を左右に動かしても見えるのは天井だけで、
仕方なく私はまたぼんやりと考える。
なぜ、こうなってしまったのか。
私はこれから、どうなるのか。
私の赤ちゃんの魂は、どこへいってしまったのか・・・・・・
「大人しい赤ちゃんですね」
バックミラー越しに初老の運転手が話しかける。
「大人しすぎて、なんだか怖いくらい。お腹が空いた時と、おしめの時しか泣かないのよ。しかも、すごく控えめに」
義母は、ほほと笑って私を軽く揺らした。
彼女は大人しい孫をこよなく愛している。迷惑なくらい。
「それに、すごく可愛い顔をしている」
「父親似なんですよ。ほほ・・・・・・」