繭(まゆ)
しばらくするとまた義母が私を抱きにきて、再びおくるみに巻かれた私は、白い天井の部屋に連れて行かれ、
結婚式以来久しぶりに会う、夫側の親戚にほっぺたをつつかれたり、あやされたりしながら、真っ直ぐに前へと進んでいった。


そして、義母の手から離れて渡されたのは、

淳一だった。


「繭」


毎日夜には、病院に来てくれていたけれど、明るい昼間の光の中で改めて見ると、何だか少しやつれて老けたような気がする。


だけど、


私の心は、母を見た時ほどは、締め付けられはしなかった。





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