繭(まゆ)
病院にいた時は何の実感もなくて
殆ど、ただ1日ぼうっとしてるだけだったから、本当はこれは夢なんだって心のどこかで思ってた。
目が覚めれば、なんてことはなく日常がまた始まって、私はまたゆっくりと退化していく。
長い長い夢を見ただけ、そう思おうと、していた。
でも、こうやって見る自分の抜け殻はどこか白々しいながらも、死を確信できる何かを湛えていた。
やはり、フナハシサワコは死んでしまったのだ。