繭(まゆ)
小学生にしては長身でスポーツができる、クラスの中でもかなり人気がある男子だ゙。


顔もすっきりと整ってるし、なかなか彩未ちゃんはいい趣味をしている。


「競争率高いからなぁ・・・・・・でも、特に好きな人がいるって聞いたことないし、彩未ちゃんかわいいから望みはあると思うよ」


くるくると髪の毛を人差し指に巻き付けながら、恋する少女は深いため息をついた。


「拓海くん、誰か好きな人いるのかなぁ?」


薄ピンク色した少女のため息は、冬の澄んだ空気にやがて溶けていった。

それを吸い込んだのか、私の心も少しはやわらかく、感じやすいものになったのか

傍観者を気取っていた私も、たまには小さな恋に協力するのもいいのかなと思ったのは


彩未ちゃんと佐和子を重ねてみたのかも知れない。



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