一つの物語
宮が一歩のいる屋上に上る階段の前にいた。
(こうするのがいいんだよね。………うん。)

階段を上る足が重く感じた。

誰かきたのに気がついた一歩は振り向いて、
「…宮??」

下を向いている宮。

「どうした??」

宮が顔を上げて、

「そのね。……私……ね。……他に……好きな…人できたから。
だから、いいよ。……もう私のことで悩まなくて。」

(エェ!!)

そう言うと宮は、屋上から下りようと階段に走っていった。

一歩は、ただ立つことしかできなかった。

階段を下りる宮の顔には、涙がポロポロっとただ空しく流れていく。

(仕方ないよ。……無理すれば、一生一歩に会えなくなっちゃんだから。……コレで……いいんだ。……コレで……)

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