一つの物語
一歩の頬に当たる風がやけに春先なのに冷たく感じた。

(宮にフラれた??
胸にぽかんと何か空いた気持ち??
左野香ちゃんと仲良くすればいいのに

左野香ちゃんに話して来よう。)

風の向きが変わった。さっきまで自分の頬に当たっていた風が、今は背中に当たる。

その風がまるで暖かい手のようにそっと押してくれた。

ただ……
< 56 / 63 >

この作品をシェア

pagetop