昭和お笑い暗黒史────戦艦「大阪」解体大作戦
「………成程。あなたがプロジェクトチーフとして開発に携わっていた、開戸研究所のトップシークレット『怪力線』を、『笑力』という無尽蔵のパワーに応用させた、という訳ですか………。」
「…………のわぁっ?!」
いきなり、背後から声が聞こえたので俺は飛び上がった!
いつの間にかそこには、黒いスーツを着た、外国人と思しき背の高い男が立っている。
さっきの林のオッサンといい、こいつら、マトモな登場は出来んのかっ!
「……これはこれは。いつの時代も、OSSは相変わらず目聡いものだな……。」
相手の正体を知っているのか、林のオッサンの態度が引き締まっている。………貧乏ゆすりはそのままだが。
「コールドスリープで少し頭の回転数が落ちているようですな、博士。現在のCIAという名称、御存知無いワケでもありますまいに。」
「あぁ、公認内部調査人?」
「……見え透いた冗談は、時に相手に不快感を与えますよ、博士。」
「何や、今のムカついたんか?案外気ィ短いなぁ。」
「だ、黙らっしゃい!我らを侮辱するおつもりか!」
(し、CIAやて…………?!)
よく映画や漫画なんぞに出てくる、アメリカのスパイ……!
さっきの、全く気配を発しないで俺の後ろに立っていた雰囲気からして、どうやら本物のようだ……。
と、いう事は………。
(やっぱり、この船がそんだけヤバいシロモノやって事かいな………冗談やないで!!)
俺は再び、この船から逃げようと試みる事にした。
「大体やね、戦後60年も経ってるようなオンボロ戦艦の調査にあてられてる、っつう事は、ひょっとして、アンタ窓際族かいな?」
「い、いい加減にしないと容赦しませんぞ!」
幸い、二人は口喧嘩の応酬に忙しそうである。俺は、そうっと忍び足で出口まで近付いて……………、
ジャキッ!
ジャキ、ジャキッ!!
…………そこで、1ダースほどの銃口に囲まれたのだった。
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