昭和お笑い暗黒史────戦艦「大阪」解体大作戦
「……………最悪だね。」
林のオッサンの一言が、屍と化した俺にさらなる一撃を加えた。
腹立つことに、周りのくいだおれ太郎までもが、顔の横に『サイアクー』や『ハズカシっ』などと書かれたフキダシを出してやがる…………!
(つ、つい最近までプータローやった分際で…………っっっ!!!)
あまりの挫折感と脱力感のために、床に崩れ落ちた体勢の俺の横に、林のオッサンが見下ろすように立っていた。
「さて………どうする?梶山君。何とか、我々の崇高なる使命に協力して貰えないかね……?」
相変わらず冷酷な笑みを浮かべ、まるで戦隊モノの悪役博士のようだ。
「…………断る、っちゅうたハズやで……!!」
だが俺は、こんなワケの分からんモンに命を懸けるつもりは………!
『では続いて、浦島太郎行ってみようか〜〜!ハイッ!
♪むっかし〜、むっかし〜、エロ島は〜〜♪』
「どおも、すいませんでしたーー!喜んで協力させて貰いますーーー!!」
俺の土下座による必死の懇願に満足そうな笑みで応え、オッサンが太郎に指示を出した。
それでようやく、俺の人生最大の恥部が、止まったのだった……。
─────再び、数分後。
旧日本帝国海軍の白い軍服に着替えさせられた俺は、この艦の司令官である林のオッサンによって、艦長に任命された。
「当然だろう。これから当艦は、君の持つ『笑力』をコアとして航行するのだからね。」
俺の軍服姿を惚れ惚れと見ながら、オッサンはそう言った。
(…………ええい!こうなったら、ハラくくるしかないっっ!!)
覚悟を決めた俺は、指揮所の中央付近の艦長席へと着いた。
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