昭和お笑い暗黒史────戦艦「大阪」解体大作戦


………そしてそこで、途方に暮れる。

「………や、あの。俺は、具体的に何すりゃええねん…………?」

この艦が再び甦る喜びで、満面のエビス顔のオッサンが応える。

「難しく考える事は無い。要は、君がこの艦の起動スイッチを入れてくれた時と、同じ要領だよ。」

(……あ、あれが、起動スイッチやったんかいな…………っ!)

俺は今更ながら、「むちゃくちゃでござりまするがな」、などと叫んでしまった事をはっきりと後悔していた。

そう、アレさえ無ければ、こんなアホな目には遭ってなかったのに…………!

「さぁ、早く!君の『笑力』を、この『大阪』に注ぎ込んでくれたまえ!」

この期に及んでまだ後悔していた俺の目の前に、昭和初期の頃の懐かしい型のマイクが太郎によってセッティングされた。

……どうやら、もう逃げ場は無いらしい。ひとつ溜め息をついて、マイクに向き直る。

(『大阪』に、注ぐ………?)

まだよく分かってない俺に、オッサンは再度微笑みかけてきた。

「この艦は、いわば大阪を凝縮したようなモノだ。そして、大阪の人間が始めにする挨拶といえば、『アレ』しか無いだろう?」

(………あぁ、そーゆー事かいな………。)

合点がいった俺は、マイクに近づき、ひとつ咳払いをして、喉の調子を整える。

スウウ、と胸にありったけの息を詰め、マイクに、叫んだ────!



「もうかりまっかーーーっ!!」



────ドクン。

この船全体が、大きく鼓動を打ったような気がした。

………そして、更にもう一度。



「ボチボチでんなーーーっ!!」



────ドクン、ドクン。

今度は、気のせいなどでは無い。

船が、確かに鳴動している───!!




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