昭和お笑い暗黒史────戦艦「大阪」解体大作戦
「………お、おおお、大阪城公園やんけーーーーっっ!!」
艦橋の窓の外には、大阪城の石垣が間近に見えている。
戦艦『大阪』は、広大な大阪城公園の一角から突如として浮き上がったのだ!
「ブルーシートハウス暮らしの方々」が何事かと集まってきたが、艦橋のスピーカーから流れる、
『ご迷惑をお掛けいたしております。
只今、映画の撮影中でございます。』
………という、いかにも胡散臭いアナウンスをみんな信じてしまい、早々に散っていった。
「……信じんなよ!!」
艦橋でひとり思わずツッコんでしまったが、確かに、ここまで現実離れした光景を映画以外に想像出来る人は稀だろう。
空に浮かぶ巨大な船体。
艦橋にそびえ立つ通天閣。
そして、外からは見えないが、あくせくと働く、くいだおれ太郎たち…………。
そんな中で、ワケも分からぬまま艦長まで任されてしまった俺の、明日は一体、どっちなんや……………!!
「空中戦艦『大阪』…………発・進っっ!!!」
人の気持ちなどどこ吹く風な林のオッサンが、本当は艦長が出すべきの命令を、嬉々として出している。
こうして、空中戦艦『大阪』は、その艦名の由来となった街の上空を、雄々しく飛行しはじめる。
空に、ちょうど一番星が瞬く時間の事だった────。
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