昭和お笑い暗黒史────戦艦「大阪」解体大作戦


「ハ〜〜っハっハっハ〜〜!

行け行け〜〜〜っ!!」

艦橋に、林のオッサンの高笑いが響いている。

空では「づぼらや」「たよし」のトラフグ混合編隊が、アメリカが誇るホーネット戦闘機を散々に撃ち落とし、

陸では「かに道楽」が誇る巨大ガニが対空自走砲及び戦車群を片っ端から踏み潰している。



………だが俺は、この大勝利の光景に、どこか違和感を覚えた。

静かに艦長席を立ち、林のオッサンに近づく。

「…………………なぁ。」

「………ん?何だね?艦長は自らの責務を全うしたまえ。」

オッサンは、モニターから目を離そうともしない。

「いや、そうやのうて!!」

真剣な様子の俺に押されて、オッサンがこちらを向いた。

「オッサン………言うたよな?この船は、地球の平和の為に使うんやって………。」

「……確かに、そう言った。」

「だったら………これは何や?!」

俺はモニターを指差す。……そこは、間違いなく戦場だ。ただ一方が、戦闘機や戦車ではなく、フグやカニだというだけの事だ。

「エラそうな事言うといて………アンタのやってる事も、アメリカなんかと変わらんやないかっ!」

いつの間にか、俺の声は段々と大きくなっていた。

「アンタはなぁ………、アンタは、自分の造ったモンが動くトコが見たかっただけや!そうやろ!!」

林のオッサンは、微動だにせずに、俺の言う事を聞いていた。



「……それは………少し、違うな。」

司令官席からスっと優雅に立ち上がり、静かに、林のオッサンが語り出した。





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