昭和お笑い暗黒史────戦艦「大阪」解体大作戦


しかし、ここで大喜利は一時中断を余儀なくされた。

『自由の女神』……あのアメリカ国籍の江戸っ子が、こちらの予想より早く、『大阪』の直下に到着してしまったのだ!

「くそ………っ!フグもカニも、もうタマ切れかっ!!」

二問目用のサザエさんズラを被ったままで、俺はシリアスに叫んでいた。

「………仕方あるまい。『彼』に登場願おうか………。」

「………何か、手があるのか?!」

オッサンは、またしても渋い顔をしている。

「………だが『彼』は、当艦の正式なクルーでは無いのだよ。しかも、もし『彼』が倒されでもしたら、責任問題が……。」

渋い顔が、さらに渋くなる。

いや、既にココまでやっといて今更、責任問題とか言っても……。

「言うとる場合かっ!とにかく、時間稼ぎだけやったら、何とかなるやろ?!」

「…………分かった。太郎君、一番主砲塔に、例の特殊弾頭を装填して!」

『了解!甲板要員に通達します!』

ほどなくして、一番主砲塔より、『充填完了。発射ヨロシ』の返信が返ってきた。

「よし…………では測距要員、着弾指示願う!」

『測距、完了しております!諸元、オールグリーン!』

「よぉぉ〜〜〜し!では目標、戎橋!………射(て)っ!」


ドォォォォンッッッ!!


一番主砲塔が火を噴き、装填された『茶色い弾頭』は、迷うことなく一直線に、戎橋、通称「ひっかけ橋」の川面にそそり立つ『彼』────、両手を挙げてゴールを喜ぶ、ランニングシャツ姿の『彼』の口へと、飛び込んだのだった────!!





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