昭和お笑い暗黒史────戦艦「大阪」解体大作戦
「………な、ななななな、何なんや一体?!こりゃ何事………?」
♪る〜〜る〜〜るる〜〜る〜〜る〜〜〜………。
いきなりの出来事にパニクる俺の耳に、「ラピュタ」の終わり近くで流れていた、あの寂しげな曲が聞こえてきた。
「………滅びの言葉を、使ったんだね………。」
そう呟くオッサンの顔には、沈痛な表情が浮かんでいた。
「………ほ、滅びの言葉て……?つ、使てないぞ、んなもん!」
「『笑いの力』を原動力とする、この空中戦艦『大阪』………。笑いを真っ向から否定する言葉である『サムい』は、この艦にとっては、自滅と同じ意味を持つのだよ……………。」
「だからっ!!そういう事は、先に言えーーーーーーーーーっっっ!!!!」
完璧にキレた俺に、だがオッサンは、静かに微笑むだけであった。
「いや……これで良かったんだ。……それに君の目的も、この艦の解体、だったんだろう?」
そう言って、何かを俺に放り投げた。
「…………………あ……。」
それは、俺がこの艦に登った時に投げ捨てた、百均ドライバーだった。
「………い、いや!こりゃつまりやね、何というか、その………、」
「いや、本当に良いんだ。………確かに君の言うとおり、この艦も、やはり戦争の為の道具。今の、平和な平成の世の中には、あってはならないシロモノだろう………。」
そう語るオッサンのその目には、諦めに似た色が見て取れた。
今や崩壊へと向かう戦艦『大阪』は、少しずつ亀裂を大きくしつつ、ゆっくりと、夜の空を天上目指して上昇していく────。
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