昭和お笑い暗黒史────戦艦「大阪」解体大作戦


♪る〜〜る〜〜る〜〜る〜〜る〜〜〜〜〜、


 る〜〜〜〜〜〜……………♪


………曲が、終わった。

「さぁ………もう、行ってくれ。太郎君をひとりつけるから、問題なく地上に戻れる筈だ。」

ゴシゴシと顔を袖で拭いて、微笑んだオッサンの顔が、今までとは違って見えた。

「アンタは…どないすんねん。」

「さぁ………どうしようかね。」

言わずとも分かる。オッサンは、この船と運命を共にするつもりなのだろう。

パラシュートを背負った太郎たちが、司令所に集まりはじめた。

「太郎君たち………今までありがとう。彼の事………頼んだよ。」

『…………………了解。』

太郎たちも、何かを感じているのだろう。その眉毛を動かす回数も、いつもより少なくなっていた。

「さ………もう、行ってくれ。」

そう言って、俺の背中を押すオッサンだったが………俺は、こんな別れ方には、納得がいかなかった。


「………………ねん。」


「…………ん?」


「……なんでやねん!何でそんなに、簡単に命投げてまうねん!」


気がつけば、俺は叫んでいた。

「復讐でもええやん!エゴでもええやん!アンタの造り出してこの船、最高やったで?!」


「………梶山君………。」


「この船やったら、オッサン言うてたみたいに、今までみたいに戦争で人死なへんし、金かからんし、最高やんか!その分、貧しい人とか、地球環境とかに金回せて、ええやんか!もういっぺん、やってみよらよ!この船の、戦争を!」


止まらなかった。今まで溜め込んでいた思いが、一気に吹き出してきた。




.
< 43 / 47 >

この作品をシェア

pagetop