昭和お笑い暗黒史────戦艦「大阪」解体大作戦
───あれから、半年が経った。
「梶山さ〜〜〜ん、時間ですよ〜〜〜!!」
「うーーす。」
楽屋で出待ちをしていた俺に、お呼びがかかる。
俺は、眺めていた百均のドライバーをカバンに戻し、ADに応えた。
オッサンとの約束を果たすべく、俺は、この半年はお笑いの修行に明け暮れていた。そして新ネタ「本当はエロいグリム童話」の大当たりよって、いつしか東京進出を噂されるほどの実力派として、周りからも認められるようになっていたのだった。
(ホンマモンの笑いの力は、戦争なんかにも負けへん。そうやよな、オッサン………。)
もう一度取り出したドライバーにそう話しかけ、俺は今日もステージへと向かう。
そう、この大阪を、笑いで満たす為に…………。
(完)
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