昭和お笑い暗黒史────戦艦「大阪」解体大作戦
…………と、その時。
何気なくテーブルの上に置かれていた、新聞の見開き。
たまたま目に入ったそのページには、見てはいけない記事が………。
『なんばグランド花月地下に謎の空洞?
(中略)そして付近では、黒いストライプスーツの男と、くいだおれ太郎?らしき複数の人影が確認されている。吉本興業ではこの事実を受け………、』
「梶山君梶山君梶山君〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!!」
梶山が待機している楽屋に、以前、彼に『大阪』解体を依頼した重役が駆け込んできた。
だが、梶山の姿は無い。変わりに、机の上に、「辞表」と書かれた封筒が。
「もう面倒見切れません。
辞めさせてもらうわっ!
ども、ありがとうございましたーー!!」
「………ち。逃がしたか。」
だが重役は諦めていなかった。
たった今、舞台を終えて楽屋に向かってきた芸人が、ひとり………。
重役は、獲物を狙う肉食獣の目つきをしながら、その芸人に近付いていった。
「松山ク〜〜〜ン、ちょっと頼みたい事が………。」
(今度こそ、完)
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