昭和お笑い暗黒史────戦艦「大阪」解体大作戦
ヘコみながらも俺は、少しでも解体をした証拠となるモノを物色する。
これが戦艦であるとすれば……、
「やっぱ、艦橋か。」
戦艦の司令中枢が集まる場所。そこになら、舵輪やのコンパスやの、なんぞ船らしきモノがあるに違いない。
……だが。
「……………無ェぞ………?」
普通ならば、船のド真ん中にこれ見よがしにデン、と突っ立ってるシロモノだ。それが甲板に立っても見えない、という事はまず無い。
「………あぁ、もう、どないせぇっちゅうねん!!」
こんな暗闇の中にひとり。ワケ分からん仕事を押し付けられ、しかも、今日のバイトは欠勤扱い………俺の頭は徐々にテンパってきていた。
そして、気が付いた時には、叫んでいた。
「ムチャクチャで、ござりまするがなーーーっっ!!」
知る人ぞ知る、昭和初期の漫才師の中でもトップの実力を持つ「エンタツ・アチャコ」の代表的なネタである。
最近、俺はそういった大御所のネタを、どうにか自分のものに出来ないか研究していた。それが、たまたまテンパった頭からこぼれ落ちた、本当に、ただ、それだけの事だった。
しかし、次の瞬間…………!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォォォォォーーーーーーッッッ!!!
凄まじい轟音をあげ、甲板のほぼ中央部分から、何かがせり出してきたのだ……!!
「………な、ななななな、何やねんなぁーーーーーっっっ!!」
見る間に、鉄骨の塔が竹ノ子のように涌いて出てくる!!
そう、恐らくは、この軍艦の艦橋部分と思しきモノが、現れたのだ………!!
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