しなやかな腕の祈り
「朝…起きてから毎日毎日一緒の生活やわ。日本と違ってこの国は自由。
昼間っから酒飲んで潰れてたって何の問題もないし、馬鹿にする人もいないね。だから酒ばっか飲んでしまうし、煙草も止まんない。」



お母さんはが先に喋った。




「え…仕事…は??」



小さな声で聞き返してみた。




「バイラオーラやよ。プロのね。
自慢みたいになるけど、あたしは一回の舞台で大体10000000円稼ぐ。
月に3回舞台に立てば、3ヶ月は余裕で生活できる。
だけど、そんなに毎日舞台が入ってくるわけないし
劇団の練習だってある。まあ、結果的には毎日暇やな。1人でこうやって1日家で過ごすのが主流」



お母さんの話を黙って聞いていて、あたしは呆気にとられた。一回の舞台で稼ぐ金額が普通じゃないのも勿論驚いた。
だけどあたしが一番驚いたのは、話し方もあたしと一緒だって事。



「秀一に話したら"自慢か!!"とか言って怒るんだろうな」



そう言って苦笑いを浮かべる我が母は、さすがあたしの母…と言った感じだった。
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