しなやかな腕の祈り
『擦れた感じ』『やさぐれてる』『取っ付きにくい』…あたしが今までに何度も言われてきた事だ。
だけど、あたしはいつも『親譲りだ』と言ってきた。
きっとお母さんも、若い頃からそうやって言われてきたんだろうな…そう思った。




「いつまでこっちにいてるんや???」





よそ事を考えていたあたしは、お母さんのその一言でハッと我に返った。



「まだ…分かりません。長期で泊めてくれる安宿を探さんと」




あたしは思ったままの事を言ったつもりだったが、お母さんは目を丸くして見つめ返してきた。




「ここに泊まればええやないの。」






予想外の展開すぎる。あたしの母親には、緊張するとかそんな気持ちはほとほと無いみたいだ。17年の歳月が経っているんだから、実質血は繋がっていても…どこか遠慮するのが普通なんだろうけど、お母さんには全くそれが感じられない。



何て言うか、凄く自然体。






あたしは、甘える事にした。確かにもう、お金も少なくなってきていたし、今日お母さんと別々の場所で寝たりしたら…またお母さんがどこかへ行ってしまいそうだったから。
< 28 / 137 >

この作品をシェア

pagetop