しなやかな腕の祈り

スペインと言ったらフラメンコ。
フラメンコと言ったらスペイン。
バイラオーラの端くれだし、すぐにそう思って
スペインの中でもフラメンコという民族舞踏の盛んな所を
必死にピックアップして、
ファルダとサパトス、ある程度の金を持って
あたしは母親を捜しに渡西した。






「あなた日本人???」





久しぶりに他人の声で日本語を聞いた…
そうか、あたしは過労死するんだ。
大好きなフラメンコの本場、スペインで。
お母さん…最後に会いたかった…
なんて考えていて驚いた。




日本人!!??




急いで顔を上げると、日本人が立っていた。
40代半ばくらいの女の人だ。





「はぃ!!日本人です!!!」




自分でもびっくりするくらいの大声で返事をした。





「踊りに来たんじゃないの???
ファルダ持ってるってことは、あなた
バイラオーラでしょう」





その女の人は微笑んだ。





「確かにバイラオーラです。
でもあたし、ここにおどりに来たんじゃないんです
人を捜しにきたんです。」





久しぶりの日本人に興奮したのか
あたしは知らず知らずのうちに立ち上がっていた。






「そう。まぁいいじゃない。
後で話聞くから今は踊りましょうよ」





そういうとその女性はあたしの手首を掴んだ。







でもあたしにとっては
セビジャーナスは辛いバｲﾚ。
秀一叔父さんの話を聞いて
辛いバｲﾚに変化してしまった。