しなやかな腕の祈り

マドリード.最後の夜

お母さんにつられて、昨日の晩は飲みまくってしまった。そして、気付いたら朝だった。一階へ降りると、劇団の練習でお母さんは居なくて二日酔いの薬を丁寧にテーブルの上に置いてくれてあるだけだった。



「あの人…超人的だね。あたしの倍以上飲んでたのに」



独り言を言いながら、あたしは薬を飲んだ。



頭痛も吐き気も落ち着き、あたしは冷静になって考えた。お母さんは、あたしのことを今、どう思ってるんだろう…と。ほとんど生き別れの娘が会いに来たのに、一緒にいる時間があまりにも短すぎないか???あたしは…フラメンコ以下…??それとも、本当は会いたくなかった???色んな妄想が、あたしの中で膨らんでいく。



『確かめたい』



また、強くそう思った。




そして、あたしのとった行動は…




お母さんの寝室を覗き見る事。
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